【建設プロジェクトにおけるフィージビリティ・スタディ】必要十分条件の整理・制約条件の調査・予算の組立・事業期間の検討

9月 20日, 2024

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建設プロジェクトでは建設地特有の規制や商習慣への対応が求められるため、プロジェクトの実現可能性を適切に評価することは極めて重要です。本記事では、建設事業立ち上げの意思決定に不可欠な「フィージビリティ・スタディ」について、その目的から実施手法まで詳しく解説します。

フィージビリティ・スタディとは?

フィージビリティ・スタディはプロジェクトの検討初期段階で数多くの不確定要因やクライアントの要望を洗い出しながら、最終的にどこに事業が向かうべきかを意思決定にかかわる主要因を詳らかにしていきます。これにより、課題と目標の可視化がなされ、お客様の中で全体最適の観点から意思決定を下すのに十分な情報が整理されます。

グローバルプロジェクトにおける重要性

次のような多岐にわたる要素について、特にグローバルプロジェクトでは包括的に網羅して検討する必要があります。

  • プロジェクトの予算化
    建設地における適当なマーケットプライスを把握し、プロジェクトの実行にいくらの予算を必要とするのかを見通すことはプロジェクトの実現可能性を図る重要な一つの指標となります。

  • タイムラインの具体化
    設計、許認可、入札、施工等、建設プロジェクトを形作る各ステージにおける工程を、建設地域の実勢に基づいて適正な期間でスケジュール化することが重要です。

  • 公法規制の把握
    各国・地域固有のプロジェクトに関連する公法規制への準拠は前提条件であるため、公法規制の全体像を網羅的に把握し、対応策を検討することが重要です。

  • 文化的・社会的背景に起因する配慮
    現地の文化的価値観、習慣、宗教的配慮などが設計および施工の双方に大きく影響するため、プロジェクトの早期に理解を図るが重要です。

  • 環境配慮
    各国の環境規制への対応や、地域特有の気候条件や自然災害への適応、グリーンビルディングに関連する環境認証評価など、環境面での総合的な検討が求められます。

フィージビリティ・スタディのゴール

私たち Plus PM Consultant Sdn. Bhd.ではお客様が新たにご検討されるプロジェクトに対し、フィージビリティ・スタディのゴールを、以下のようなプロジェクトの核となる要因を明らかにし、事業が向かうべき目標を確立することと定義しています。

  1. プロジェクトに求められる必要十分条件の明確化
  2. プロジェクト遂行上の障壁の特定と対策の立案
  3. 予算と期間の最適化

いずれもプロジェクトが進行する過程で重点的にマネジメントすべき、リスク・コスト・スケジュールに直結するものです。

建設プロジェクトにおけるリスクアセスメント手法、コスト管理、スケジュール管理については以下の記事にわかりやすくまとまっていますので合わせてご覧ください。

建設リスクアセスメント実践ガイド:プロジェクトを成功に導く進め方

建設コスト管理の基礎知識:発注者が押さえるべきポイントとは

建設スケジュール管理とは?効果的な手法を解説

フィージビリティ・スタディの実施が有効なケース

特に以下のようなプロジェクト検討発足期のケースにおいてフィージビリティ・スタディの実施が有効です。

  • 新規事業の立ち上げ
  • 初期予算組み
  • 事業化スケジュールの検討
  • 建設地域における公法規制条件や習慣の確認
  • 建設候補地の絞り込み
  • 既存施設に対する劣化度・法適合状況の確認

フィージビリティ・スタディの構成要素

フィージビリティ・スタディは、プロジェクトに応じて、以下の要素を組み合わせて実施します。

  • 制約条件の調査
    公法規制や周辺災害予測等に基づいた設計・施工上の制約条件を明らかにします。

  • ボリュームスタディ
    土地利用計画上、実際に建設可能な建物規模、ならびに建物外に配置が必要な駐 車・駐輪場、緑地等の条件を図上で可視化します。

  • 要求条件の設定
    プロジェクトに求められる仕様や水準を整理します。

  • 超概算の算出
    プロジェクトに予想されるコストを算出します。

  • マスタースケジュールの考案
    プロジェクトに要する各段階の期間を設定します。

  • 建設候補地選定
    プロジェクト候補地として望ましい土地の絞り込みをします。

  • 建物調査
    既存施設に対する劣化度・法適合状況を机上調査と実地調査の両面から行います。

  • ライフサイクルマネジメント
    修繕などのメンテナンスに関する中長期的なスケジュールならびに予算組みを行います。

フィージビリティ・スタディ後のプロジェクトの展開

フィージビリティ・スタディを経て、プロジェクトが実現可能と判断され、正式にプロジェクトの立ち上げが決定した後はプロジェクトを骨肉化し、設計、施工へと紡いでいくプロセスが待っています。

建設プロジェクトにおけるステージ別のフローと、その期中にPlus PM Consultantによる代表的サービスメニューはこちらです。

上記に関する詳細な各サービスの説明は以下のリンクをご覧ください。

プロジェクトマネジメント・コンストラクションマネジメント(PM/CM) – Plus PM Consultant

まとめ

大規模な投資を伴う建設事業において、プロジェクト発足前に全体最適の観点から事業の実現可能性を正しく判断することが極めて重要です。 Plus PM Consultantはこれまでプロジェクト化をご検討された数々のお客様へフィージビリティ・スタディのご支援を行った多くの実績があります。 建設事業をこれからご検討されるお客様は、ぜひ当社のフィージビリティ・スタディ サービスの採用をご検討ください。
様々な国、地域、法令、習慣下でプロジェクトを進めた実績のある弊社にぜひ一度ご相談ください。

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