3月 9, 2021
新型コロナウイルスによる移動制限は、プロジェクト担当者が”現地”に行くことを妨げました。
ASEAN マレーシアに拠点を構える当社も多くの影響を受けました。この各国の移動制限令は新型コロナウイルスに限らず、アフターコロナにおける海外工場建設プロジェクトの進め方、同様の移動制限のリスクを考えるきっかけになりました。
移動制限があっても、建設プロジェクトを止めないための体制と仕組みはどうすれば構築できるのか。
「建設業界で、まったく現場に行かずにマネジメントを行うことは非常に困難である」「建設現場はアナログ」と言われる中、プロジェクトマネジメント、コンストラクションマネジメント会社としてテクノロジーを活用し、現場訪問回数が制限された場合における、安全・スケジュール・施工品質の安定を図る方法を模索しました。
現場訪問回数が制限された場合における、安全・スケジュール・施工品質の安定を図る方法として、建設業界のデジタル化が一つの解決策になると考えています。
昨今、テクノロジーの進化により、建設プロジェクトを効率的かつ効果的に管理するデバイスやソフトウェアが多く開発されています。これらはデータの作成、処理、共有の方法を革新することで、建設業界のデジタル化を促進しました。
建設業界のデジタル化について話すとき、ビルディングインフォメーションモデリング(BIM)は良く取り上げられます。しかし、BIM は建設業界で起こっているデジタル化の1つに過ぎません。
現在まさに革命を起こしているのは、ドローンの使用、プロジェクト管理ソフトウェア、共同アプリケーションなどその他のツールがデジタル化し、複合的に重なることにあります。
現在、当社が着目している3つのテクノロジー・ツールについて簡単に説明したいと思います。
写真:配管位置検証
まずデジタル化のベースとなる BIMです。
BIMとは、建築家、構造および電気設備エンジニア、積算士、機器メーカーおよびサプライヤー、さらには元請業者とその下請業者を含むすべての情報を組み合わせて、プロジェクトの3D モデルを作成するシステムを言います。
目的は、プロジェクトの構築に必要なすべての情報と詳細を含む正確な 3D モデルを作成し、各工種・工事における不一致、衝突、情報不足の発生を排除することです。
BIMのメリットは、計画とスケジュール管理、設計変更とコストの最適化を従来の方法と比べて、より簡単に実現できます。
3Dモデルは変更に関する正確なコストデータを比較的迅速に生成できるため、チームは設計のさまざまな構成をスタディでき、コストの最適化を実現できます。
BIM により、建築家、構造および電気設備エンジニア、積算士、機器メーカーおよびサプライヤーは最新の情報を正しく取得でき、各工事が干渉する部分を確認し合うことが出来るようになります。
プロジェクト管理ソフトウェアも人気を集めています。プロジェクト管理ソフトウェアは、プロジェクトの各フェーズ(設計段階、入札段階、建設段階、引き渡し段階、保守段階を含)のプロジェクト情報とプロセスを管理する共同ソフトウェアです。
プロジェクト管理ソフトウェアは、クラウドシステムを使用してクラウド環境でプロジェクトチームのメンバーを接続し、情報の更新やクラウドへの追加を瞬時に表示し、各メンバーがアクションを実行できるようにします。
また共同アプリケーションなどタスク管理ソフトウェアも一般化してきました。プロジェクトマネジャーとクライアントのタスクを効果的に割り当て、タスクと割り当てについて各チームメンバーと連絡を取り、フォローアップし、各メンバーがプロジェクトステータスの更新し合い、現状の進捗を確認し合うことが出来ます。
最後にドローンと現場カメラです。ドローンは進行状況の監視と記録に役立ちます。毎日の作業監視に使用でき、撮影した写真をレポートに使用して現場状況の理解を深めることができます。
もう一つは、現場常駐者がヘルメットに小さなカメラを付けて建設現場を歩くだけで写真記録を作成できるテクノロジーです。このソリューションは、画像のキャプチャー、アップロード、整理を自動的に行ってくれるというもので、「Google ストリートビュー」に似た操作体験を作成できます。
リモートで現場を確認する管理者は、インターネットさえつながれば、どこからでも収集したデータを見て分析することができます。
デバイスやソフトウェアの開発は、コミュニケーションの面を強くデジタル化できるようになりました。
しかし、現場に行かずにパソコンの画面だけを見てプロジェクトができるかというとそうではないと考えています。プロジェクトマネジメントのデジタル化の課題は、ツールを活用しながら、顔を見ての打ち合わせや現場巡回と同レベルの情報を吸い上げ、タイムリーにプロジェクト関係者をマネジメントする、その仕組みを作づくりにあります。
テクノロジーの進歩により、多くのことが出来るようになったからこそ、どう使いこなすかを考え、スムーズにプロジェクトを推進するしくみが課
題と考えています。
建設のデジタル化は、競争力を維持するために、建設業界のすべてのレベルで不可避かつ不可欠となってきました。さまざまな種類のデジタル化ツールの採用にはコスト、時間、労力がかかることは否定できません。最初はプロジェクトの進展に多少の後退が見られるかもしれませんが、慣れた期間を経て、メリットが得られると確信しています。その努力は、投入されたコスト、努力、時間を大幅に上回ります。
建設業界の新時代は既に到来しています。
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