7月 11, 2017
建築業界ではマレーシア最大級の不動産開発計画「バンダル・マレーシア」の再入札が話題になっています。これまで開発を主導してきた中国企業の計画が白紙になったためです。
日本では馴染みがない「バンダル・マレーシア」ですが、高速鉄道シンガポール~クアラルンプール間のクアラルンプール駅の開発計画と言った方が分かり易いでしょう。
この計画はクアラルンプール南部の2平方キロメートル近い敷地に、高速鉄道の始発駅や「デジタル自由貿易区」と呼ぶ電子商取引センターなどをつくる構想で、もともと1MDBが土地を所有していましたが、不良債権化し2015年末に中国の国有鉄道建設、中国中鉄などの企業連合に売却することで一旦合意しました。その後何故か交渉が不調に終わり、再びスポンサーを募る方向となりました。
マレーシア政府は計画白紙の理由として、中国中鉄側が支払い義務を履行しなかったことを挙げていますが、ナジブ氏と中国とのパイプが弱まっていることも噂されています。
特に注目されているのは、巨額の負債を抱える1MDBの再建に直結する為です。
1MDBを通じてナジブ首相に不正資金が流れたとの疑惑も依然くすぶっており、1MDBの再建と不正資金疑惑の国際捜査の行方はナジブ政権の命運を左右します。
また開発遅れは、日本が受注を目指す高速鉄道計画のスケジュールにも影響しかねません。
マレーシアとシンガポールは高速鉄道の入札を今年10~12月に始め、26年にも運行を始める計画ですが、主要駅の開発計画の遅れは高速鉄道の計画や集客力にも影響します。
マレーシア政財界は「バンダル・マレーシア」をナジブ政権の命綱として見守っています。
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